映画・ドラマ・アニメなどのレビューサイトとして多くのユーザーから親しまれているFilmarks(フィルマークス)。
そのFilmarksが生成AIを使用したCMを2024年7月12日にX(旧Twitter)上に流し、大炎上した後に即刻削除されるという騒動が起きました。
なぜFilmarksはこのようなAIを用いたCMを流したのでしょうか?そしてこのCM制作に関わったクリエイターは誰なのでしょうか?
気になる理由や詳細を徹底調査しました。
Filmarksが制作したAI使用CMの内容は?
FilmarksのXの公式アカウントは、2024年7月12日に生成AIを使用したCMを公開。
その投稿内容は、
FilmarksのCMができました。
それも、全編AIで!!
CM制作でも、ついにAIを活用する時代。クリエイターとAI技術の融合によって、こんな、観たことのないCMが制作されました!これからどんな作品が生まれていくのか。映像エンターテイメントの新たな可能性にワクワクがとまりません…!! Filmarksも、まだ観ぬ映像作品との新たな出会いを届けていきます。
と、進化するAIに期待を込めた内容をポストしていました。
気になるCMの内容ですが、残念ながら現在は削除されているため視聴はできない状態ですが、視聴したユーザーによると
AIで生成された存在しない映画の映像と一緒に「映画って、やっぱり面白い!」というテロップが流れた
という内容のCMが流れていたとのことでした。
ですが、このCMを視聴したユーザーは大いに批判をし、大炎上。
Filmarksは炎上した後に即刻ポストを削除し、このような謝罪文をXに投稿しました。
Filmarksが発表したこの投稿の要約をまとめると、
・このCMの投稿について、多くの意見と批判を受けた
・ユーザーの映画に対する深い愛情と理解に基づいた意見や批判を真摯に受け止め、投稿を削除した
・昨今の映画・映像製作とAI技術に取り巻く状況への認識不足によってクリエイターへの敬意に欠けた軽率な行動を反省
・ただし、クリエイターに対して敬意を欠く行動は自分たちの本意ではない
このように、映画レビューサイトとして、Filmarksは映画・映像作品の製作クリエイターに敬意を持ってはいるものの、結果として起こした行動が敬意に欠けた行動だったということを深く謝罪するといった内容が投稿されていました。
Filmarksが制作したCMが削除された3つの理由まとめ
Filmarksは、2024年7月16日に制作したCMに対しての謝罪文を投稿し、実際に制作したCMを含むポストも削除していました。
ですが、肝心な削除に至った理由や敬意は明確に記されてはいませんでした。
そのため、Filmarksはなぜ今回生成AIを使用したCMを削除するに至ったのか、その考えられる3つの理由を以下にまとめました。
理由① 映画(映像作品)に対するリスペクトがない
何よりもまず考えられるのは、FilmarksがAIを用いたCMを制作したこと、そしてその動画を投稿するといった一連の行為には、映画作品やその他映像作品に対してのリスペクトがないということです。
映画や映像作品は、その作品に出演する俳優たちはもちろん、その他スタッフやクリエイターなどとても多くの人が関わることによってようやくできる作品です。
ですが、今回FilmakrsがAIを使用して、そういった人員を使うことなくこのようなCMを作ってしまったということは映画や映像作品への冒涜となり、またリスペクトを全くしていないという行動につながりました。
また、こういった一連の行動を映画の大手レビューサイトがしてしまったということも大炎上につながった理由の1つでもあります。
もしこのような行動が普及してしまった場合、
・クリエイターやスタッフ、出演俳優などが要らなくなってしまう
・これが普及したらAIが支配しクリエイターも俳優も仕事を失う時代になってしまう
このように、映画作品や映像作品に関わってきた多くの人の仕事を奪うことになりかねません。
Filmarksが起こしてしまった行動は、上記のようにAIが支配する時代を作ってしまうことを助長してしまうようなことをしてしまったということです。
理由② 2023年に起きたストライキを無下にするような行動だった
AIを使用した作品に対する抗議は、既にアメリカでなされていたことをご存知でしょうか。
アメリカのハリウッドにて、2023年5月に脚本家組合が、そして同年7月には俳優組合がストライキを起こすという“ダブルストライキ”が起きました。
このダブルストライキによって多くの作品が撮影中断・中止を余儀なくされたのですが、今回のストライキで最大の問題となっていたのが下記の2点でした。
このストライキは、脚本家組合は148日間、俳優組合は118日間という長期戦になったほどで、最終的にはAIの問題点については、AI技術の乱用からの保護を約束されたということで合意がされました。
ですが、Filmarksが取ってしまった行動はこの2023年のダブルストライキがされた意味を無下にするような行動だったと多くのCM視聴者に非難されました。
理由③ 視聴者から大きな批判を受けた
FilmarksがCMを削除した理由として最も大きかった理由の1つとしては、やはり視聴者から大きな批判の意見を集めたことだと思われます。
実際にFilmarksのCMを試聴したユーザーや一連の炎上事件を見たネット上のユーザーは、
Filmarksなしには、私の映画人生はない。でもだからこそ、このCMの作り方は批判するよ。この企画が通ったことも驚きだし、誰も止める人が車内にいなかったんだなというのも衝撃。Filmarksにとって映画ってなんなのか、今一度考えてほしいと思う
これ自社CMとしてokを出したとは… よっぽど費用かけたくないのか… まだ法規制もできてない 生成AIは現在のところクリエイターの作品を勝手に搾取している搾取ツールです それを使うことは会社としての信頼を損なうと思います ハリウッドのストライキをご存知ないはずがない
映画を扱って飯を食ってるとは思えない仁義の無さとセンスの無さだなぁ…。こんなCMを『映像エンターテイメントの新たな可能性』と自画自賛されても…違和感しかなくて興ざめの映像なんですけど…。
映画があるからこそ成り立ってるFilmarksが、映画を大量に無断でエサにしてる生成AIを使ってCMを作りましたって、グロテスクすぎるな。元々”おこぼれ”で食わせてもらってるような事業者には、クリエイティブもリスペクトも存在しないのだなと思い知らされる
Filmarks、ずっと利用してるけど… ガッカリした… 「映画ってやっぱり面白い」って言って全編AIのCM作るの理解出来ない。 ハリウッドのストライキの事忘れてしまった?
これはあくまでユーザーの声の一部ですが、その他多くの批判と落胆の声が上がっていました。
おそらくこの一連の騒動の件がきっかけでFilmarksの利用をやめてしまうユーザーもいたのではないかと思えるほどの炎上騒ぎとなってしまっていました。
FilmarksのAI使用のCMを制作したクリエイターは誰?
今回Filmarksが投稿した生成AIを使用したCMが大炎上となりましたが、そもそもこのCMを制作したのはどういったクリエイター陣だったのでしょうか?
Filmarksは2024年7月16日に投稿したCMのポストを削除したことと謝罪文を発表していましたが、そこにはCM制作に関わったクリエイター陣などの情報は載っていませんでした。
また、このCMを最初にポストした7月12日の投稿にも、クリエイターに関するポストはされていませんでした。
ですが、CMが公開された7月12日に「このCM制作を担当しました」とポストしていたアカウントを見つけました。
その投稿がこちらです。
こちらの投稿をしたアカウントを見て分かる通り、FilmarksのAI使用CMを制作したのは「DO / AI」というクリエイター陣ということがわかりました。
この「DO / AI」というクリエイター陣について詳しく調べたところ、元となる会社はWITCRAFT.LLC(ウィットクラフト合同会社)だそうです。
詳しい情報はこちらです。
【会社名】WITCRAFT.LLC(ウィットクラフト合同会社)
【会社設立日】令和6年6月1日
【資本金】3,000,000円
【代表 CEO】大嶌 諭
【事業内容】AI事業、映像コンテンツ事業、コミュニケーション事業など
この「DO / AI」というクリエイターチームはまだ最近できたばかりの新しいチームのようで、事業内容としては最新のAI技術を駆使した広告動画を制作するチームのようでした。
新しい技術に挑戦し続けるという意味では良い試みではないかとは思うものの、今回のように映像作品にAI技術を使ってしまうとやはり先にご紹介したような2023年のダブルストライキが意味をなさないものになってしまうし、映画・映像作品に関わっている多くの人の仕事がなくなってしまうことへとつながってしまいます。
これは今後も問題になるのではないかと思ってしまいますね…。
まとめ
今回は、FilmarksのAIを使用したCMの内容をご紹介するだけでなく、そのCM削除された理由を3つご紹介すると共に、視聴したユーザーの反応や、このCMを制作したクリエイターが誰だったのかなども含め、幅広くご紹介してきました。
AIの技術は日々進歩しており、たしかに私たちの生活は便利になっていくものでもあるので悪いばかりではないかとは思いますが、あまりに何でもAIの技術を使ってしまっては人間の仕事がなくなり生活が脅かされるだけでなく、やはり「人間が作るからこそ良いものがある」という人間味の良さまでもが失われてしまいます。
今後もAI技術については様々な面で議論がなされると思いますが、映画や映像作品はやはりこれまでのようにAIが支配するのではなく、人の手によって作られたものが大切にされてほしいなと思います。
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